日々の活動記録

BLOG

釜石高校SSH課題研究最終発表会に参加しました!

 こんにちは、事務局の山岡です!

 2月は、とても強い寒波が列島中を覆いましたが、皆さんどうお過ごしでしょうか?私にとっては2度目の東北の冬で、朝晩の冷え込みや冷たい強風にはまだまだ慣れませんが、それでも寒さに負けずに頑張りたいところです。

 さて、2月15日(土)に釜石高校SSH課題研究発表会がありました。今年1年間活動してきた探究活動の集大成となる最後の発表会です。午前中は各ゼミの代表によるステージ発表、午後はすべての班がポスター発表を行いました。

 今回は私の印象に残ったステージ発表をいくつかご紹介します。

 人文国際ゼミの1班は、『本屋の不況の打開策を考える』というテーマで、地元の本屋である桑畑書店と協力しながら、どうやったら本屋の売上を伸ばすことができるか、を探究しました。彼らは、書店で本を選び購入することの楽しみを知ってもらおうと、学校と本屋に釜高生のオススメコーナーを作り、さらに1月には、高校生に人気の作品と自身が好きな作品を紹介するトークイベントを実施しました。

 私が感心したのは、ある課題に対し仮説を立て、アクションした結果を報告するだけでなく、本当に「本屋の売上を伸ばすこと」という目標に近づくことができたかを考察・反省し、次の展望を発表してくれたことです。実際、オススメコーナーを掲示した後と、イベントの実施後に、多少売上があったものの、全体の売上にインパクトを与えるような結果にはなりませんでした。探究していく中で、地方の人口減少や紙で読む人の減少傾向といった構造的な問題にも気づいたようなので、今後は別の方法も試していきたいと考えているようでした。

 次に、地歴公民ゼミの『釜石の戦争遺構から考える地域の活性化』というテーマの班についてです。彼らは、当初、人口減少をいかに止めることができるかという課題意識から釜石市の新たな魅力を発見しようと探究を進めていましたが、その中で見過ごされてきた釜石市の戦争遺構に気づき、最終的には釜石を「平和教育の街」にしよう!という目標を定めて活動しました。

 彼らはまず釜石市の郷土資料館を訪ねて、第二次世界大戦中、釜石に大きな被害を与えた連合軍による艦砲射撃について学びました。そして、当時釜石にあった捕虜収容所や彼らが逃げた坑道の跡が、地元の人でさえあまり知らないという事実に気づき、これらの戦跡をめぐるツアーを計画しました。2月には、生徒有志が集まり、彼らが考えたルートでお試しのウォーキングツアーを実施しました。今後は郷土資料館と協力して、より本格的な戦災めぐりツアーを考えているそうです。

 私自身、この班にはよく関わっていたので、とても上手に発表してくれたなという印象だったのですが、彼らも前述の班と同じで「単発イベントでは終わってはいけない、継続的な活動にしたい!」という思いがあり、さらに郷土資料館としても戦後80年として何か企画したいと考えているようなので、継続して何かお手伝いできればと思います。

(地歴公民ゼミによる長篠の戦いを再現したジオラマ)

(理数科のポスター発表の一つ。バイオロギングという手法を用いたウミガメの生態調査を行いました。)

 最後に個人の所感ではありますが、私自身、今年度探究活動のサポートに一年間関わって、ある程度の手応えがありました。なぜかといえば、昨年年度は外部の方々に一度だけインタビューするなど、要望ベースでピンポイントにつなげることが多く、探究の大きな方向に影響を与えることが少なかったのですが、今年度は、一部の班ではありますが、比較的早い段階から生徒と伴走してくださる個人・団体を見つけることができ、定期的にオンライン等でミーティングを重ねるなど、継続的にコーディネートすることができたからです。より長い期間関わることで、校外でのイベント実施や探究の成果発表が向上したのみならず、外部の大人たちに質問をしたり、積極的に議論するなかで、生徒たち自身の成長が見られました。

 釜石コンパスで毎回多くのきっかけさんが参加してくださるように、高校生の思いに対して「何か応えたい」と思ってくれる大人たちがたくさんいるな、と改めて感じた一年でした。早いもので、コーディネーターの任期はあと一年です。できることは限られていますが、それでも今年の成功事例をしっかりと咀嚼して、来年度は、もっと面白い探究が生まれるようにサポートしていきたいと思います。

(ポスター発表の様子)